一次元の挿し木 ⚠忖度なし感想
以下箇条書きでつらつらと
・主人公が結構な美青年、その妹も結構な美少女っていう描写があるんだけど「別にどっちも美人間じゃなくても通じる話だよな~」とは思った。実写映画化とかを見越しているのかなあ。一昔前まではどちらかというと「平凡な主人公が~」から始まる物語が多かった気がするし、主人公もなるべく凡庸な書き方をされていた時期はあったと思う。そういうフツーの子が頑張るからこそ物語や感動がある、みたいな。一周回って、また主人公らしい主人公の時代なのかな。
・悪の組織の正体が新宗教(「新興宗教」は侮蔑の意味を持ち始め、カルトと同一視されるようになっていったので1970年頃から「新宗教」と呼ぶことが増えたらしい)っていうオチは、正直よくある、めっちゃよくあると思った。モブサイコ100、呪術廻戦、あとは洋画ホラーとかでも宗教オチは結構多い。
👇「新宗教」について詳しく書いてあるNoteの記事を見つけた
https://note.com/d_yosoji_man/n/neb6d37bac2cb
・一昔前の「怖さ」の根源は幽霊とかモンスターとか、いわゆる定番のものが多かったように思う。昔から人間が怖いと思い続けてきたもの。浮世絵を通り越して絵巻の時代にも「怨霊」は存在する。けど、よりリアリティを求めていった結果、ヒトコワ系のホラーが生まれたし、宗教もそこに含まれていったのじゃないかな。宗教オチは別に信仰対象そのものが怖くなくてもよくて、それを信仰する人たちの集団が怖い、みたいな描かれ方もされている。
・ホラーやミステリは結局「よく分からないもの」が怖いという根っこに繋がっていて、だから例えばサメ映画もホラー映画の一種(厳密にはパニックだけど)として成り立つんだよね。意思疎通がそもそも難しいエイリアン、地球外生命体、ゾンビもそう。線引きしているラインをもっと内側に寄せていくと、同じ言語を話しているはず(=仲間・身内)なのに意思が伝わらない怖さってことで、宗教とか因習村とかが出てくるんじゃないかな。
・このあたりから、描き方によってはだいぶ危うくなってくる気がする。「よく分からない」「怖い」はただの数の勾配差ではないかと、個人的には気になりはじめる。たとえば日本国内でも地域の伝統芸能は担い手がどんどん減っているけど、今までの歴史ふくめ何にも知らない人がチラッと見ただけで「キモイ」とか「怖い」って言ったらちょっとムッとするよね。「いやいや、それはあなた(=わたし)が知らないだけですよね」っていう世界はどの分野にも存在していて、国内のことですら細かく詳しく知っているわけじゃない。
・だから一つだけ。まず宗教はよく分からないものをとりあえず放り込んでいい場所ではないと思う。個人的には、宗教とは人間にとって結構古くからある学問のスタイルの一種だと思ってる。科学や物理がまだ確立されていなかった時代、それでも人間が世界を理解しようとした足跡だと思ってる。確かに今の科学的観点からは否定される部分もあるけど、かといって軽率に「ウワ~~怖(笑)」って扱うのもちがうよね。日本において「無宗教」を自称する人は多いけど、多分自覚がないだけで宗教は日常に溢れてる。言葉とか、風習とかに。それでも「無宗教」を自称するのは、おそらくだけど「なんらかの教義を信じているわけではないから」ではないだろうか。そして仏教と並んで日本に古来からある神道は「教義(教典)がない」のだ。
👇あのWikiにも1行目から書いてある
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E9%81%93
・正直、科学とミステリを組み合わせたものが読みたいなら『ジェノサイド』の方が圧倒的に情報量多くておすすめだと思った。
・本文は時系列と視点が飛びまくるので、メタ認知能力テストみたいになってる。登場人物の名前を覚えるのが苦手な人は人物相関図をかきながら読んだ方がいい。肝心なトリックが理解できないと悲しい。
・因習村、謎宗教の謎儀式、生きた女の情念、死んだ女の情念、などなど。ホラーやミステリはまだ色んな「ゆがみ」の中にあると思う。地方の山奥はよく分からない。宗教の儀式はよく分からない。なんとなく女の恨みって怖い。ホラーは今、新しく「怖い」を開拓するときなのかもしれない。
