・率直な一番の感想。アルソスの行動の構造は、イラク戦争のときのアメリカそのままだと感じた。時系列的には逆なんだけれど。
絶対にヤバいものを作ってる。ここで首謀者を抑えないとマズい。国が! 世界が! と言いつつ、フタを開けてみると空振りで、取り返しがつかなくなって敵国を攻撃するんだよないつも……。空振りだったというのは結果論で、諜報活動をした成果だと捉えることはもちろん正しい。けど、毎度のことながら「仮想敵」を一度作り上げてしまうと、そこから一歩引き返すのは相当難しいんだろうなと思うよ。
・旧帝国海軍も同じようなことをしたことがある。同じ日本軍だけど、明治のころから陸軍とはバチバチに仲が悪かったので、なんとか活躍の場面を持ちたかったんだよね。そこで仮想敵、アメリカがいかに強大な脅威かを説いて、予算を大幅に上げてもらった。結果として「戦果」のために戦争をした場面があったんじゃないか……っていう本を読んだことがある。
ああ~~~詳細気になるのにいつどこで読んだか忘れたので、探します。多分『海軍反省会』かそれをもとにした『日本海軍400時間の証言』のどっちかだったと思う。
・あとは単純に「スパイもの」としてだいぶ面白い本で、大変読みやすい文体なので、読み物としてはOKなんだけど、史料として取り扱う際には必ず一次史料を当たろう! と強く思った。幸いNHKスペシャル取材班なので、末尾に色々参考にした場所や文献が書いてあります。
歴史の先生からは、歴史を「解釈」してストーリー付けしてはいけないって散々言われてきた。人が書く以上、主観から逃れることはできないけど、自分で断片をつなぎ合わせて物語を作ってはいけないって。そういう意味でやや注意です。
・NHK出版社は一応NHKの関連企業なので、とんでもない誤情報は載っていないだろうと最低限の信頼をしています。100分で名著に挙げられるように、基本的には解説に向いているイメージだし、解説に呼ばれる人たちもちゃんとした研究者が多くて安心。ただやっぱり個人的には、歴史書の分類を持っている出版社から出された本が一番信頼できます。校正に歴史分かる人がいるからね……
